キャリアカウンセリングの様々な現場で
活躍される方々によるリレーコラム。
「職業安定広報」2004年4/21号より

就職・採用アナリスト
キャリアコンサルタント
((財)社会経済生産性本部認定)
斎藤幸江

 

 私は、新卒以来10年間は就職情報会社において、学生の就職動向のヒアリングと共に、彼らの個別相談に乗ってきた。その後の8年間はフリーランスの立場で、メールや対面などで相談、支援を実施している。その経験をもとに、若年者の就職支援の状況を紹介したい。

■早くも悲喜こもごもの4年生
 花見の季節を過ぎ、街路に若葉が目につくようになる4月半ば。この季節は、さまざまな就職相談が集中する時期である。
 まず相談依頼で多いのが、次年度4月の新卒入社をめざす大学生。といっても、彼らの悩みは一律ではない。この数年来、セミナー・説明会の開催、応募書類の提出といった選考のピークが、3年次の春休みに集中している。そのため、「4月半ば」というのは、進級ほやほやの4年生にとっては、微妙な時期なのである。
 ある学生は、就職活動に一生懸命、取り組んだにもかかわらず、選考に通らない。4月になると、かなりの大手企業が応募受付を締め切るので、焦りと不安が高まってくる。
「せっかく、いい大学に進学したのに、二次選考さえ通過できない状態です。私はもう、勝ち組キャリアを諦めなければいけないんでしょうか」
といった悲痛なトーンの相談が舞い込んでくる。
 一方で、活動の波に乗り複数企業からの内定を手にする学生が出てくるのもこの時期。
 「この仕事、職場と志望を決めきれないまま、企業の求めに応じて選考を受けてきた結果、4社から内定を打診された。どうやって選べばいいのでしょう?」
 「1社は、前者の学生に分けてあげてよ」と、思わず言いたくなる。彼女の重複内定が、前者の就職の可能性を狭めているかもしれないと考えると、なかなか複雑である。
 そのほかにも、「インターネットで毎日、就職情報をチェックしていたのだけれど、説明会やセミナーに参加する勇気を持てないまま、春になってしまった」と動揺する学生からの相談もある。

■既卒者の悩みもさまざま
 そして、既卒者。就職先が決まらないまま卒業を迎えてしまった者の悩みは深い。器用に立ち回ったり、積極的果敢に企業にアプローチできなかった結果が、未就職卒業である。それなのに、卒業後は学生時代の数倍の積極性や強い意思が求められる。学校という後ろ盾を失い、自力で応募先を探し、就職内定を決めなければいけないという厳しい状況に立ちすくんで、助けを求めてくる者がいる。
 では卒業と同時に無事に就職先に入社した者に悩みはないのかといえば、そうではない。入社後わずか数日〜1カ月で、「辞めたい」あるいは「辞めてしまった」という相談も近年は増えている。
 思い描いていた職場と実際とのギャップをどうしても埋められずに、「生まれて今までで、一番苦しんでいる。食事もとれず、いっそ死んでしまおうかと思うこともある」と深く悩む新人もいる。
 また、入社後わずか2週間目から、毎日深夜2時までの就労、土日の出勤といった過剰労働を強いられ、就職先に強い疑問を感じる者もいる。
 これらに加えて、「入社1年後の配属」や「3年目で初めての異動」を経験して順応できずに相談を求めるケースもある。
 こんなふうに、4月の相談はバラエティに富む「就職相談博覧会」。カウンセラー・相談担当者の力量が、試される時期なのである。

 
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