キャリアカウンセリングの様々な現場で
活躍される方々によるリレーコラム。

「職業安定広報」2005年3/21号より

女性と仕事の未来館
キャリアカウンセラー
針原桂子

 

 キャリア・カウンセリングの特徴を語るとき、「問題解決のカウンセリング」と表現することがあります。
クライエントの抱えるキャリアに関わる悩みや問題を見極め、その解決を図ることこそが、キャリア・カウンセリングの目的であるということです。
 ここで大前提となるのは、「何がその人にとって解決すべき問題なのか」を的確に把握することです。
そんなことはクライエント自身が当然わかっているのではないかというと、そうとも言えない場合が、案外多いのです。相談にいらっしゃる方の中には、気になることや不安なことを抱え、どうしようかと悩むうちに、それらがまるで絡まり合った糸のような状態になってしまい、一番の悩みの原因が何なのかが自分でもよくわからなくなってしまわれている方が多く見受けられます。ですから、必ずしも、クライエントが最初に訴えた問題が、その方の抱える根本的な問題だとは言い切れないのです。
 そこで、キャリア・カウンセリングを行う場合、カウンセラーは、クライエントの絡まり合った問題を、その方と一緒に解きほぐし、整理して、解決すべき問題を見極め、クライエントにも気づいていただくことが、大変重要な第一歩になるわけです。
 たとえば、「仕事を辞めたいので、転職に有利な資格について教えて欲しい」ということで相談にみえられた場合に、「それでは…」と、すぐに資格についての情報提供を始めるのではなく、そもそもなぜ仕事を辞めたいのかについて、さらに詳しく、そして深くお話を伺います。
 そうすると、「転職したばかりなのに、上司が親切に仕事を教えてくれないので、仕事がスムーズにいかない」という状況が語られたり、さらにその原因が、「自分から積極的に仕事を習得していくノウハウが身に付いていない」ことであることが明らかになったりと、さまざまな問題がどんどん出てくる場合がよくあります。
 そして、それらを整理しながら、本当に解決すべき問題を確認した上で、その解決に向けて、クライエント自身が、選択したり決断したり、実際に行動を起こしていけるようサポートをしていくわけです。
 表面に現れた悩みのみに焦点をあててサポートをしても、その背景にある問題を見過ごしてしまっていては、根本的な解決には繋がりません。
 私がキャリア・カウンセリングを行っている女性と仕事の未来館では、1回の相談時間は50分ですので、比較的じっくりとお話を伺うことができますが、所属されている機関の事情によっては、もっと短時間で対応していかなければならない場合もあり、なかなか簡単なことではないと思われますが、キャリア・カウンセリングを行う場合には、このことは、いつも念頭に置いておかなければならない大切なポイントの一つだと思います。 
 私は、何回か相談を継続する場合でも、1回で終結する場合でも、それぞれの回のカウンセリングの中で、相談に来られた方が、自らの問題を自覚し、その解決に向けて、一つでも具体的な行動を起こせる状態になっていただくことを目標として、カウンセリングを行います。
 相談室を出て行かれる方の明るい笑顔にほっとしながらも、今日のカウンセリングが、その方の抱えていらっしゃる問題の本当の解決に繋がっただろうかと、常に自問しながら、カウンセリングを行っている毎日です。
 
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