キャリアカウンセリングの様々な現場で
活躍される方々によるリレーコラム。

「職業安定広報」2005年7/21号より

社団法人 大阪府経営合理化協会
人財開発部マネージャー
土肥眞琴

 

 キャリア・カウンセラーは、自分がどのようなキャリア観・人間観を持っているかが問われるとよく言われます。学生を含めた若年者のキャリア開発支援の現場において、私が日常的に感じているのは「相手はちゃんと自分の力で自分の問題に気づく力を持っている、問題解決に向けて自分で動き始める力を持っている」ことを「信じて待つ強さ」が、自分に備わっているだろうか、ということです。
 言葉で表現するのは簡単ですが、活き活きと毎日を過ごすエネルギーを前面に押し出してくることが少なく、「ぼわわ〜ん」とした印象を受けるような人達の集団に対峙する時は、ともすれば指示的・主導的アプローチに傾きそうになる自分を戒めるのに苦労することもしばしばです。
 職業紹介の現場においては、「数値目標」(相談者のうち何名が実際に就職できたか)も当然考慮しなければならない重要事項ではありますが、現場の方々のご苦労を伺う度、「質」(相談者がどれくらい満足して自分の進路を自己決定・選択できたか)の評価も忘れないでいただきたいと思います。そうでなければ、「信じて待つ」なんて、何を悠長な、ということになってしまいます。
 相談者が自分のキャリアを考えていくことを支援するためには、まず何よりも支援する立場の人間が自分のキャリアについて真剣に考え、自分のキャリア開発に真剣に取り組んでいることが前提ですが、意外となおざりにされているのではないでしょうか。
 行政や教育機関などで、相談業務に携わっている方達の中には、キャリア・カウンセラー資格取得者も増えてきていますが、「あくまで業務上必要な資格だから取得しただけ、転職するわけでもないのに、自分のキャリアなんて考える必要はない」という方もまだまだおられるのが現状です。教育機関などでは、「せっかく資格をとったのに、異動になったので宝の持ち腐れになってしまった」という声もよく聞きます。近年、キャリアデザインを標榜した学部・学科の新設も増えていますが、その卒業生達が果たして自分自身のキャリア開発をちゃんと考えることができるのか、少々心もとなさを感じたりもしています。「自分はどうしてキャリア・カウンセラーになりたいのか、どんな支援をしていきたいのか」を考えてみることは、自分のキャリア観・人間観を確認することに他なりません。ここを考えることなく、いきなり就職先の紹介を求めたり、「こんな相談者にはこう対応する」マニュアルを求めたりすることは、結局自分でキャリア・カウンセラーとしての可能性を閉じることになってしまうのではないでしょうか。
 私は「本職」に加えて、キャリア・カウンセリング研究のNPOでも活動していますが、そこで特に力を入れているのが「内的キャリアへの気づきの支援」です(「内的キャリア」:「働きがい」「生きがい」であり、個人個人が持っている「働くこと・生きることの意味」)。
 近年は「内的キャリア」の重要性への理解も拡がってきましたが、より一層確かなものとするために、今後も「CDW」と呼ばれるキャリア開発ワークショップや、学生〜社会人3年目ぐらいの若年者対象グループワークなどの普及活動を行っていきたいと思っております。また、将来的には「子どもの就職を支援する」親としてではなく、親自身が自分のキャリア開発について考え、取り組んでいける支援にも関わっていきたいというのが、私自身の「夢」であり、キャリア開発課題の一つでもあります。読者の皆様も是非今一度、ご自身のキャリア開発についてお考えいただくことを願っております。
 
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