キャリアカウンセリングの様々な現場で
活躍される方々によるリレーコラム。

「職業安定広報」2005年8/21号より

株式会社ゼネラルパートナーズ
キャリアカウンセラー
池辺 誠

 

 私は、個人のキャリアカウンセラーと企業採用支援担当としてこれまで2,000名以上の方とのカウンセリングセッションや、採用支援をお手伝いしてきました。私共が、「キャリアカウンセリング」と称していることをカウンセリングを受ける方々にはまだご認知いただいていない部分も多いと感じています。そういった背景から一業界人として僭越ながら簡単に述べさせていただきます。
 これは私自身のエピソードなのですが、キャリアカウンセラーとして仕事をするようになって4年目になりますが、当初は自分の中で、こんな葛藤に苦しんでいました。
 「そもそもキャリアカウンセリングは必要ないのでは?」
 とサービスを提供する側が、このような気持ちでいました。サービスを受ける方はたまったもんじゃないですよね(笑)。
 なぜそのように感じたのかと申しますと、仕事は楽しいですし人の役に立つ、人生の岐路をサポートするという重要な支援者であります。それにもかかわらず、私の気持ちの中ではこう考えていました。
「個人の方が誰かに依存しなければ仕事が探せないのであれば、精神的な甘えを助長し、表面的には良いが、 根本的な解決にならないのではないか?」
 疑問を解決すべく、教育や、個人が的確な情報を得る使いやすいインフラを整える方が大切なのでは?と解決の手段も見つけられず、思い悩む日々が続いていました。
そんなある日、就業のお手伝いをした方からいただいた1通の手紙が、疑問を作っていた心の雲に光明が見えてくるきっかけをくださいました。
 その手紙にはお礼の気持ちが綴られており、それだけでも非常に嬉しいものだったのですが、特に印象に残る一言がありました。
 「あの時、池辺さんが私の本音に気づかせてくれなかったらこんな素晴らしい選択はなかったと思います」
と書かれており、とても嬉しい気持ちと私の中で何かが見えてきました。
 その後にお会いして、その方はこうお話ししてくださいました。
 「実は、最初は何をしてくれるんだろうと疑問に思ってたんですよ! でも池辺さんと話をしていくうちに自分ではわかっているつもりでいた自分自身がよく見えてきて、池辺さんと向き合っているようで自分と向き合い見つめる場だったんだとわかりました……」
 その方がおっしゃった「自分自身と向き合う」という言葉に大切な意味が込められていると感じました。
その方が私と会って得たのは、知識でも情報でもありません。「自分の気づき」でした。
 もちろん、そこから業界や職種の話から、やりがいやライフスタイルの話を具体的にイメージできるレベルまで持っていくことがキャリアカウンセリングでは大切です。ただ、自分自身を知ることがないまま活動を進めてしまいますと、その場の何かを避けて新しい環境に移ったという意味では新鮮ですが、根本的な、ご自身が抱えていた問題に意識の焦点が向かないため、時間が経つと違った形をして、また自分の前に問題として現れます。
 普段の生活では、時間をとり自分自身を見つめ返すというのは、突き詰めてもなかなか難しいものです。一人ではうまくいっているつもりでいますし、私自身もそうでした。
 そんな自分自身と向き合う一歩をお手伝いできることからスタートし、業界や職種の知識、求人の動向や、求人ご紹介、面接前カウンセリング等、その方が納得する転職活動を成功させるためのあらゆるサポートを「 キャリアカウンセリング」として、広義的ですが私は捉えています。
 私たちは前線には出ない黒子のような存在ではありますが、転職希望の方々が、自分の意思で納得し、かつ、ご活躍している姿がある限り、このキャリアカウンセリングは必要であると自負しています。
 
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