キャリアカウンセリングの様々な現場で
活躍される方々によるリレーコラム。

「職業安定広報」2007年4月号より

女性と仕事の未来館
キャリアカウンセラー
岩舩展子

 

 少し自己紹介させていただきます。私は18年間、産業カウンセラーの養成に関わる一方、シニア産業カウンセラーとして、メンタルヘルス面談、管理職者へのメンタルヘルス教育、キャリア面談などを主な仕事としてきました。キャリアカウンセリングを含むシニア産業カウンセラーの立場から、この項の執筆をします。
 今日では幅広く使われているカウンセリング(Counseling)という言葉ですが、F・パーソンズ(F・Parsons)が、ボストンの市民厚生館で開設した「職業相談所」で初めて使ったと言われています。カウンセリングは米国で誕生し発達したものです。欧州で発達した心理学とカウンセリングが統合し「カウンセリング心理学」として、1951年に学問として誕生しました。日本にカウンセリングが伝わったのもこのころです。ボストンの「職業相談所」は、現在の日本のハローワークと同じ役割を担い、求人・求職のマッチングが主な仕事でした。パーソンズは、「人は、自分を分析する力を持ち、その分析に基づいて賢明な選択をすることができる」という信念にたち、来談者が自己分析を行い、職業について理解をし、選択ができるようになるための援助をする人を「カウンセラー」と呼ぶといいました(『カウンセリング心理学』渡辺三枝子より)。
 歴史を紐解くと、産業革命後、短期間に重工業国になった米国では、たくさんの労働者を必要とし、若年者がライン生産に関わりました。親世代は農業労働者でしたから、職業的に親の生き方はモデルにならないわけで、時間の使い方・技術の習得とスキルアップ・お金の使い方・コミュニケーションなど、一つ一つが新しい経験で、新鮮であると共に戸惑いもあったはずです。今日の日本と似ていると思います。親世代は終身雇用制度でしたから、就職=就社でした。この時代は、“うちの会社という社会”に適応すればよかったのです。しかし、今は、終身雇用でなくなっただけでなく、同じ会社内でも、“プロジェクトという社会”に適応が要求され、プロジェクトは早ければ半年で解散します。人間関係は作り上げる関係ですから、現代社会は、生産性重視の見返りとして、人間関係のスクラップ&ビルドを繰り返しています。
 一方、キャリアという言葉・概念は、ドナルド・スーパー(Super. D・E)が1953年、米国心理学会で初めてその理論を発表したことにより注目され、1957年、『キャリアの心理学』が出版されました。今日、キャリアというと、スーパーの理論を多くの人が引用しています。スーパーは、ライフ・キャリア(①成長期、②探索期、③確立期、④維持期、⑤衰退期)の視点に立ち、生涯を5つに分け、それぞれの発達課題を示しました。
 ハローワークに訪れる方は、②探索期、③確立期、④維持期の方々でしょう。それぞれの時期により当然のことながら、求めるものが違います。また、ライフキャリアレインボーでは、生涯の役割を①子供、②学生、③職業人、④ホームメーカー、⑤親、⑥余暇を楽しむ人、⑦市民に分け、この役割は当然重なります。日本人は余暇を楽しむことや市民として地域社会に参加することが少ないようです。

(次回以降は人間関係に触れていきます。)

 
戻る 次へ

一覧に戻る