キャリアカウンセリングの様々な現場で
活躍される方々によるリレーコラム。

「職業安定広報」2007年6月号より

女性と仕事の未来館
キャリアカウンセラー
岩舩展子

 

 新任管理職のA課長(男性39歳)は、育児休業から復帰したB子さんに、育児と仕事の両立をがんばって欲しいと思っているのですが、適切な言葉かけが浮かびません。

A課長:「保育所のお迎え時間に間に合うようにと、何か声をかけないとB子さんは帰りにくいのではないか、と思うんですけど、どう声かけしたらいいか言葉が浮かばなくて……」
カウンセラー:「気負わずに率直におっしゃったらどうでしょうか。例えばB子さん、そろそろ仕事切り上げた方がいいんじゃない?とか、手っ取り早く“時間ですよ”とユーモラスに言うとか……」

 A課長は「時間ですよ」を使いました。それからしばらくして、B子さんの後輩が「先輩、時間ですよ!」と言っていると報告がありました。どうやら、職場にB子さんを支援する体制が根づいたようでした。B子さんが精神的に安定し、仕事にも育児にも専念できることは、単にB子さんのキャリアアップに留まらず、やがて職場に還元されていくのです。
 最近はセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントを意識しすぎて、言葉かけに不自由になっている方を見受けます。確かに、親しみを込めたつもりでも、相手からは“馴れ馴れしい”と取られることもあります。上司と部下の関係では、激励のつもりが“パワーハラスメント”になることもありますし、“セクシュアルハラスメント”と受け取られることもありますので注意が必要です。しかし、相手がどう受け取るかは、日頃の人間関係によることも多いのです。挨拶やねぎらいの言葉を、お互いにかけあっているかどうかチェックしてはいかがでしょうか。そして、この言葉かけの重要性は、病後の職場復帰直後の短時間勤務の方にも当てはまると思います。
 上記のように好意的な職場ばかりではないのも現実です。あるケースでは、言い出しにくいけど勇気を出して「スミマセン、保育園のお迎えに間に合わなくなるので……」と切り出したら、「たまにはダンナにも行ってもらったら? 2人の子供でしょ!」と言われ、退職を決意しました。2人目を出産するために退職するか、1人っ子で勤め続けるかは、女性のキャリアカウンセリングにはよくあるケースです。女性が職業を持ち続けるには、1に夫の理解と協力、2に家族の理解と協力、3に職場の理解が必要と言えるかもしれません。男女共に、子育て真っ最中の人や、病後の職場復帰後間もない人たちには、1から3が満たされてこそうまく乗り切れるのです。

 
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