キャリアカウンセリングの様々な現場で
活躍される方々によるリレーコラム。

「職業安定広報」2007年11月号より

(財)産業雇用安定センター
東京事務所
キャリアカウンセラー兼
コーディネーター
柳 玉江

 

 相談内容で出てくる問題について整理し、その対応手法についてお話しします。

1 高い賃金を希望する
 労働市場や経験・知識等にそぐわない高賃金を希望される方がいます。高賃金は誰でも欲しいものですが、現実的な求人とのマッチングを考えると、問題点として対応する必要も出てきます。高賃金を希望される方の場合、次の3つのことが想定されます。
(1)「自分を安売りしたくない」という気持ちから設定する場合
 賃金額は自分の人格的価値とイコールだと思っている方の場合です。このような場合、その方の気持ちを  大事に尊重しつつ、次の3点についてお話をし、ご理解をいただきます。
 1 現在の賃金は、現会社における長年の貢献度である。(ポイント:ここでは、長年の会社への貢献について、しっかりと労うことが大切です。)
 2 賃金は経験、知識等に見合った、実際に会社に利益をもたらせるもので設定してある。
 3 一般に採用企業は、優秀な人材をなるべく安い賃金で採用したいと思っている。(ポイント:「優秀な人材を」を強調することで納得感を得ることが多いようです。)

(2)経済的問題があり、高く設定せざるを得ない場合
 相談に来られる方の中には、多額の住宅ローン等を抱え、扶養家族が複数いるなど、どうしても一定額以上の賃金を必要とされる方がいます。この場合は、生活していくのにどうしても必要な額をもう一度、ご家族と話し合っていただくことをお勧めしています。最低、必要な賃金を再検討した後、賃金を第一条件として、相談に応じていきます。

(3)労働市場の現状をご存知でない場合
 「希望」ということで、ただ欲しい賃金を設定される場合です。この場合は、その方の経験等に合った求人を検索し、実際の求人票を何件か見ていただくことで、労働市場の現状を認識していただきます。ほとんどの方に納得していただける方法です。

2 希望職種が決められない
(1)特殊な業務経験しかない場合
 キャリアの棚卸しをしっかりとしていきます。作業レベルまで職務分析していく中で、他の業務でも使える能力、経験をご一緒に発見していきます。それらを眺め、現実の求人と照らし合わせながら、どのような職種で能力を生かして就労できるかを探っていきます。

(2)今までと違った職種に就きたい場合
 なぜ今までと違った職種に就きたいかの理由をお聴きします。理由を明確にした上で、上記(1)の方法で対応しています。

3 リストラ等で退職を宣告された
(1)高圧的な態度の場合
 プライドを傷つけられ、怒りの気持ちで一杯になっているのかもしれません。また、心の動揺を見られたくない気持ちで虚勢を張っているのかもしれません。その気持ちを受け止め、大切にしながら、丁寧にお聴きすることで、まず信頼関係を構築するようにしています。

(2)落ち込みが激しい場合
 現れ方の違いといえます。上記(1)と同じ対応をします。

※ 今回で最後となりましたが、キャリアカウンセリングの現場で大切なことは、適切な情報提供、アドバイスはもとより、常に相手を思いやり尊重する気持ちが何より必要だと思っています。

* 12月号からは、立教大学准教授・小島貴子さんにご執筆いただきます。

 
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