キャリアカウンセリングの様々な現場で
活躍される方々によるリレーコラム。

「職業安定広報」2008年5月号より

こころとキャリアの
カウンセリングオフィス
結(ゆう)代表
山本公子

 

職業興味の発達
 大学のキャリアデザインセミナーで、学生達に小さい頃憧れた職業を尋ねると、花屋、ケーキ屋、先生、スポーツ選手、宇宙飛行士等がよくあがります。身近な人の職業や、テレビの流行等、環境の影響を受けやすいことがわかります。
 子どもの頃の夢は、成長と共に、体験や知識、能力の吟味といった条件を組み込んでつむぎ直され、現実的な職業興味へと発達していきます。
 興味は人を引きつけ、動機付け、価値観を形成していきます。追い求めすぎると現実離れをしますが、義務感や経済観念だけでは満足できないのも事実です。それは大人になっても同様で、収入よりも、『好きであること』や『やりがい』を職業に求める場合もあります。

人と職業の6タイプ
 人は独自の素質や特性を持って生まれ、自分を取り巻く環境との交流を通じて、職業意識が育まれます。キャリア心理学者のホランドは、人と環境を6タイプに分け、人は自分のタイプと同じ性質の環境(職業)を求め、そこで最も力を発揮することを見いだしました。
 6タイプの職業領域とは、「現実的、研究的、芸術的、社会的、企業的、慣習的」職業領域です。この考えを元にしたのが、大学生向け「VPI職業興味検査」(注1)、中学・高校生向け「職業レディネス・テスト(VRT)」(注2)です。学校や若者支援機関等で利用されており、相談の最初の導入に適しています。短時間で実施でき、ワークシートを利用したり、職業情報を調べることで、自己理解と職業理解を深めることができます。

運動が好きなA君
 A君は勉強は嫌いでしたが、運動は好きだったといいます。頭より身体を使う仕事を好み、中学卒業後、土木現場などを転々として、将来のことはあまり考えていませんでした。前述のVRTをしてもらうと、物作り(現実的職業領域)や経営(企業的職業領域)、人と関わる活動(社会的職業領域)への興味が強いことがわかりました。さらに職業ハンドブックOHBY(オービィ)(注3)を見てもらうと、建設関係の大工、とび、左官などに興味を持ち、仕事の内容やその職業に就くための方法を熱心に見ていました。A君に、公立の高等技術専門校に行く方法もあることを伝えると、ぱっと明るい表情になりました。将来建設関係で独立したいという希望も言葉にしました。
 A君は自分自身の職業興味に気づいて目標が鮮明になり、はじめて頑張ってみようという気持ちになったのでした。

職業興味は発達し変化する
 興味はその人の活動や職業生活と共に発達し、変化していきます。例えば、事務職から人事相談の仕事をするようになったBさんは、事務的(慣習的)な興味が薄れて、社会的・芸術的興味が高くなりました。技術職から管理職になって、現実的興味から、企業的・社会的興味へと変化する人もいます。このように興味は、その時々の状況や気持ちを反映しています。また、興味だけで適性が決まるわけでもありません。 そこで、次回は能力面について取り上げます。

○注1、注2:「VPI職業興味検査」[第3版]「職業レディネス・テスト」[第3版]社団法人 雇用問題研究会
○注3:労働政策研究・研修機構 http://ohby.hrsys.net/
○ウェブでできる興味検査等の例
・労働政策研究・研修機構「キャリアマトリックス」http://cmx.vrsys.net/(約500職種の仕事内容を写真とともに解説。興味、ワークスタイル(価値観)、スキルによる適職探索等も可能)
・大阪府総合労働事務所職業カウンセリングセンターのホームページ(MIO職業興味チェックリスト、若年向けPrep-Y職業興味検査の利用が可能)http://www.pref.osaka.jp/sogorodo/counseling/

 
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