キャリアカウンセリングの様々な現場で
活躍される方々によるリレーコラム。

「職業安定広報」2009年1月号より

横浜国立大学経済学部非常勤講師・
キャリアコンサルタント
井田喜治


 

 今回は、私がある就職支援施設のキャリアコンサルタントとして活動していた時の事例です。上は70歳から下は18歳の方まで、様々な年齢層の方々が相談のため来所されましたが、年齢にかかわらず、最も多かった質問内容の1つが「私にはどのような仕事がありますか?」「どのような仕事が合っているかわかりません」というものでした。
 その中の1人であった、Bさんのケースをご紹介します。

Bさんの相談内容
 Bさんは28歳で、大学卒業後、あるメーカーに入社し、人事部門に配属されましたが、入社5年目に一身上の都合により退職されました。そして、数カ月後には再就職を果たすのですが、1年も経たないうちに退職され、来所されたのはその2カ月後でした。
 Bさんの悩みは「自分には何が向いているのか、何ができるのか分からない」というものでした。

追加のアセスメント実施
 悩み抜いたBさんは、私のところに来所された時には既に職業興味検査を済ませておられ、結果を拝見したところ、企業的興味・社会的興味・芸術的興味の項目で高い数値を示していました。
キャリアカウンセリングでは、自己理解、適職理解を進めるべく、「どのような働き方がしたいのか」「どのような仕事がしたいのか」等について、クライエントとキャリアカウンセラーが共通認識を持つことがとても重要になります。そこで、既に職業興味検査 を済ませたBさんに対し、私は簡単で短時間にできる2つの追加のワークシートへの記入を行っていただきました。
 1つ目は、「ワークスタイル・チェックシート」です。内容としては、・好きなことや興味のある分野で仕事をしたい、・できるだけ身体に負担の少ない仕事がしたい等の15問の選択肢があります。
 2つ目は、「(再)就職活動プランチェックシート」です。これは、・職歴、・取得している資格・技能、・仕事に生かせる経験・技能、・希望する仕事、・希望する勤務・雇用形態、を記入します。

アセスメントの意外な効用
 手間をかけてワークシートをご記入いただく以上、当然ながら、カウンセリングにおいて有効に活用しなければ意味がありません。キャリアコンサルタントは、手元のワークシートを参考にしながら、必要な質問・確認を行います。
クライエントの中には、相談にはいらしたものの、緊張している方もいらっしゃいます。キャリアコンサルタントとしても、緊張をほぐしていただけるよう努力をしますが、お互いに初対面であり、手元に何も情報がない状態でカウンセリングを進めることは、時として非効率なこともあります。
 Bさんの場合も、最初は緊張していましたが、ワークシートの記入を進めるうちに、徐々にその緊張もほぐれてきたようでした。その後、ご記入いただいた情報に基づいてカウンセリングを行うことで、Bさんご自身についてのさらなる情報もお話しいただけるようになり、内容の充実したカウンセリングを行うことができました。

 
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