キャリアカウンセリングの様々な現場で
活躍される方々によるリレーコラム。

「職業研究」2010年春季号より

ハローワーク、定時制高校
就職支援相談員
(2級キャリア・コンサルティング技能士)
栗田 稔


 

 私は、現在都内のハローワークと埼玉県内の定時制高校で、キャリア・コンサルタントとして「社会人」と「高校生」の就職支援を行っています。対象者は10代の学生から70代の高齢者の方までと幅広く、相当ハードではありますが、多くの方達への就職支援ができ、大変やりがいを感じています。
 現場での就職支援は、どれだけ本人に仕事への高い“意識”を持ってもらえるかにかかっています。都内のハローワークという場所柄、外国人の相談者も多く、私の職業経験が映画会社、ITメーカーでの営業・企画・宣伝のプロデューサーだったこともあり、プログラマー、デザイナー、芸能関連で入国している多数の中国人、韓国人、米国人の方達へも就職支援を行っています(もちろん日本語ですよ!)。彼らは、日本人よりも目的を持って就職をしようとする“意識”が高く、そのために仕事のスキルアップやキャリアアップへの“意識”も高いのが特徴です。
 そのような外国人に対して、一般的な日本人はどうでしょう。残念ながら、社会人・学生ともに、いまだに「就職」ではなく、安定した会社へ入社する「就社」を希望しているのが現状です。これでは、近い将来、優良な企業の社員は、ほとんど外国人になってしまうでしょう。
 それでは、どのようにして、求職者に仕事への“意識”を高めてもらえるように支援を行えばよいのでしょうか? 一部(特に若年者に多くみられます)の求職者は、就職や転職をするにあたって、会社をみるとき、「将来性」よりも「安定していそう」、仕事は、「キャリアアップや貢献できるか」ではなく「努力しないですみそう」「面白そう」といった点を重視します。自分で自身の将来や会社を伸ばそうという攻めの意識よりも、一生、会社に守ってもらおうという受け身の意識のほうが強いようです。就職をするにあたって、現実的な市場分析や自己分析(自分の商品価値)、企業・業界等の分析や調査を行わずに、求人票の会社名や給与・賞与だけを見て応募しているため、このような求職者は、いつまでもミスマッチが続いて長期失業者になってしまうのです。
 ハローワークの早期再就職支援センターで、担当制による個別支援を行っていた時の事例を紹介しましょう。30代の男性に、初回の面談時に希望している職種の求人票を持ってくるよう電話でお願いしたところ、持ってきた求人は未経験職の「一般事務」でした。今までの職歴は「製造のライン業務」と「集配のドライバー」で、実務ではほとんどパソコンを使用したことがありません。もちろん、求人票に記載されているパワーポイントやアクセスがどういうものなのかも知りません。
 「なぜ、この求人を持ってきたの?」
 「お茶出しと、電話対応ぐらいなら自分でもできそうだから」
 「応接室でのお茶の出し方分かります?」
 「……?」
 彼のような求職者に、皆さんはどのように対応されますか?
 次回は、この男性がどのようにして仕事に対する“意識”を高め、本人がやりがいを持てる仕事を見つけ、再就職を果たしたかを紹介いたします。

 
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