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調査・研究

介護従事者の実像ならびに賃金実態調査 研究報告書(1999-2001年度)

【研究会メンバー(所属は当該年度のもの)】

座長 古谷野 亘(聖学院大学人文学部教授)他委員3名

【目 的】

介護保険制度の施行をはさむ3年間(平成11年度~平成13年度)にわたり訪問介護事業従事者(ホームヘルパー)の実態と賃金に関する調査を行い、訪問介護事業における労働環境の改善に資する提言を行うことを目的としている。

【調査の方法】

1.全国調査

社団法人シルバーサービス振興会加盟の訪問介護サービス事業所を対象に郵送調査を実施した。

◆平成11年度

調査実施期間:平成11年12月~平成12年2月

対象事業所数:279事業所

回答事業所数:66事業所(回収率:23.7%)

◆平成12年度

調査実施期間:平成12年8月~平成13年1月

対象事業所数:322事業所

回答事業所数:89事業所(回収率:27.6%)

◆平成13年度

調査実施期間:平成13年8月~平成13年12月

対象事業所数:371事業所

回答事業所数:91事業所(回収率:24.5%)

2.地域調査

東京都内A区と東北地方のB市において、平成11年度にはホームヘルプ事業の委託を受けている訪問介護事業所、平成12年度・13年度には指定訪問介護事業所の全数を対象に郵送調査を実施した。

◆平成11年度

調査実施期間:平成11年12月~平成12年2月

対象事業所数:23事業所

回答事業所数:10事業所(回収率:43.5%)

◆平成12年度

調査実施期間:平成12年8月~平成13年1月

対象事業所数:44事業所

回答事業所数:11事業所(回収率:25.0%)

◆平成13年度

調査実施期間:平成13年8月~平成13年12月

対象事業所数:81事業所

回答事業所数:14事業所(回収率:17.3%)

3.ヒアリング調査

◆平成11年度

調査実施期間:平成12年2月~平成12年3月

対象事業所数:7事業所

◆平成12年度

調査実施期間:平成12年9月~平成13年2月

対象事業所数:9事業所

◆平成13年度

調査実施期間:平成13年10月~平成13年12月

対象事業所数:10事業所

【調査結果】

1.訪問介護事業所の従業員数は一様に増加しているのではなく、従業員数の増加した事業所がある一方で、当初予想していた利用者数の伸び悩み等により事業規模を縮小せざるを得ない事業所もあり、全体としての従業員数は微増にとどまっていた。このような従業員数の伸び悩みは特に都市部において顕著である。多くの事業所では正社員ヘルパーの新規採用ができない状況にあり、訪問介護サービスの提供はパートと登録のヘルパーに頼らざるを得ない状況にある。

パートと登録ヘルパーの労働時間は3年間に微増し、訪問介護事業者全体としてのヘルパーの賃金は上向きであるが、大きな変化があったわけではない。平成13年度と平成11年度の賃金を比較してみても金額そのものは微増で、十分とはいえない状況にあることは変わらず、改善の必要が認められる。

2.介護保険がスタートして間もない訪問介護事業者の経営は、まさに手探りの状況にある。そのような中で、全国展開の大手事業者や地場の事業者、またこの業界に新規参入した事業者などさまざまな事業者が存在し、それぞれ大なり小なりの問題を抱えている。そのため、訪問介護事業者がかかえる問題についても一様に論じることは難しい状況にある。

3.正社員はもとよりパートや登録のヘルパー間でも待遇面の差は解消する方向になく、依然として大きな差が存在している。このため、訪問介護事業所やヘルパーの平均像を描くことは困難である。

4.訪問介護の現場を支えるヘルパーの中心は40~50歳代の女性で、その採用も決して順調には伸展していない。今後、質の高い訪問介護サービスの提供を可能にしていくためには、ヘルパーの養成が不可欠である。

こうしたことから、民間事業者の中には、行政の協力を得て地域の中で参集し、NPO法人を立ち上げてヘルパー養成講座を開設するなどの新しい動きもある。