調査・研究
介護労働者のキャリア形成と能力開発に関する実態調査 研究報告書(2002-2004年度)
【研究会メンバー(所属は当該年度のもの)】
座長 染谷 俶子(淑徳大学社会学部教授)
委員 時井 聡(淑徳大学社会学部教授)
委員 藤野 達也(淑徳大学社会学部講師)
委員 松本 真一(淑徳大学社会学部大学院研究助手補)
【目 的】
介人口の高齢化は後期高齢者人口を増加させ、そしてその結果生じる要介護高齢者人口の急増は、家族の介護ニーズを増大させた。近年の家族機能の低下は、家族内の高齢者介護ニーズに対応しきれず、介護の社会化を余儀なくしている。
このような社会的要請に対応し、近年、福祉介護分野の従事者養成を目的とする大学教育が急速に発展した。
また介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、ホームヘルパー等の専門資格取得も急速に発展・普及してきている。
本調査は、急増する介護労働従事者の能力開発とキャリア形成がいかになされているか、その実態を明らかにすることを目的としている。
【調査の方法】
1.郵送調査
◆平成14年度
調査実施期間:平成14年9月~平成14年10月
対象者数:2,600名(札幌、千葉、東京にある3大学の福祉学科卒業生2,000名、
社団法人 日本社会福祉士会の会員600名)
回収数:788件
回収率=30.3%
◆平成15年度
調査実施期間:平成15年10月~平成15年11月
対象者数:2,600名(社団法人 日本介護福祉士会の会員2,600名)
回収数:809件
回収率=31.1%
2.ヒアリング調査
◆平成14年度
調査実施期間:平成14年11月~平成15年2月
事例数:38事例
◆平成15年度
調査実施期間:平成15年11月~平成16年3月
事例数:28事例
回答事業所数:11事業所(回収率:25.0%)
【調査結果】
平成14年度、15年度の調査結果の特徴としては、20年以上の職歴を持つ40歳以上の人々とそれ以下の若い世代とに、多くの点で有意差が見られたことである。20年以上の職歴のある人々は、現在の仕事に対する満足度が高く、仕事に対するやりがい感が強い。またこの年代の人は、責任ある職に就いている人が多いこと、さらに「職務」意識で研修に望む傾向も強いことが読み取れた。なお20歳代、30歳代は、研修参加の意欲は強く、新たな資格取得にも積極的である。
4年制大学の福祉学科は40年以上の歴史があるものの、社会福祉士、介護福祉士等の介護福祉専門職については10数年、介護支援専門員についてはほんの数年に過ぎない。したがってまだ発足して歴史の浅い介護福祉士有資格者について、発展状況を結論づけることは控えねばならない。
しかし近年急増している介護福祉士有資格者が、それぞれの職場において着実に根を下ろし、とりわけ20年以上の勤務経験のある40歳以上の子どものある人々が、勤務経験を生かし責任ある役割を担っていることが、当調査から明らかになった。
今後20歳代の若い世代がどのように自己の能力を開発し、現場の介護業務を担っていくようになるか。近年増大する若者層の介護福祉士有資格者の今後の移行について、追跡調査が継続されることが必要であると考える。
