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Vol.11-3

『職業安定広報』2007年10月号より

キャリアカウンセリングの様々な現場で活躍される方々によるリレーコラム。

職業相談や情報提供をするうえで留意していること

柳 玉江氏 画像

(財)産業雇用安定センター東京事務所
キャリアカウンセラー兼コーディネーター

柳 玉江

職業相談や情報提供をするうえで、次のようなことに留意しています。

1 相手を尊重する

 中高年齢者の方は、社会の中で様々な経験をされ、ご苦労されてきた方ばかりです。
 そのことを念頭に置き、相手の方を尊重する姿勢で臨みます。

  1. (1)  挨拶
     まず、はじめてお会いするときの挨拶。第1回目でも申しましたが、尊重の気持ちを込めて、丁寧であたたかい態度でいたします。初めの対応で相手の方が、こちらに持たれる印象が随分違ってきます。その後の相談がスムーズにいくのはいうまでもありません。
  2. (2) 言葉遣い
     相手を尊重する言葉遣いを心がけていますが、丁寧であればよいということでなく、相手の方に合わせて使っていく必要もあります。時にはざっくばらんな言葉遣いの方が親しみがもて、信頼感を持っていただけるということもあります。先日も、50歳代後半の男性の方に、つい、「そう、そうなのよねー」と砕けた調子で言ってしまい、「あっ」と口を押さえ、「失礼いたしました」と謝ったところ、ニコニコされて、「いえいえ、なんか、ほっとしましたよ。話しやすい感じになりました」と言っていただき、恐縮してしまいました。
2 話をしっかり聴く

 話しやすい雰囲気ができたところで、現在の仕事内容などを聴いていきます。

  1. (1) 話の内容の他に背景にある気持ちを受けとめる 現在の仕事、過去携わっていた仕事の内容などを話していただく時、高揚感を持って話す人もあれば、敗北感を滲ませながら話す方もいます。そこにその方の職業適性や、問題点が見え隠れすることも多く、その後の適切な相談や適職の紹介につながることもよくあります。話の内容を聴きつつ、言葉の抑揚や、態度など、ノンバーバルな部分もしっかりキャッチして聴くことが大切です。
  2. (2) 話の腰を折らずに最後まで聴く 話の途中で相手の言いたいことが分かってしまうことがあります。しかし、本当に分かったのでしょうか。話していない先のことが分かったとしたら自分の推測であり、思い込みでもあります。もちろん、合っている場合もありますが、ここは焦らずに、しっかりと最後まで聴くことが大切です。相手の方は最後まで聴いて貰えたという満足感と、自分自身から発せられた言葉で自分の考えを再認識できるのです。話の腰を折らずに、しっかり聴く事は多少時間がかかるように見えますが、結果からみると実は一番の近道になることが多いのです。
3 相手が決定権を持つ

 アドバイスをするときは、複数の提案ができるようにし、相手が選べるようにします。相手は自分で選択・決定したことになり、主体性を認識し、結果の責任も自覚できることになります。

4 情報は有用で新鮮なものを提供する

 相手にとって有用で新鮮な情報をセレクトして提供します。新鮮な情報の収集にインターネットは欠かせません。相手にとって何が有用で、必要なものかはしっかりと聴くことで把握するようにしています。応募を考えている会社の情報など、役立つと思われるものをインターネットから選び出し、情報提供するようにしています。