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Vol.12-3

『職業安定広報』2008年2月号より

キャリアカウンセリングの様々な現場で活躍される方々によるリレーコラム。

〈自己紹介書〉で弱みを補強

小島貴子氏 画像

立教大学
ビジネスデザイン研究科 准教授
コオプ教育コーディネーター

小島貴子

 今回は、転職回数の多い人、多種多様な仕事をしてきた人、さらに、ブランクがあったり、フリーターとしての経験が長かった人への就職支援を考えます。

1.なぜ「自己紹介書」を書くのか

 日本の企業では依然として転職回数が多かったり、ブランクのある人の履歴書には抵抗感を持つことが多いようです。例えば、直接会って話をしてみると魅力的で意欲のある人や、アルバイトとしての仕事内容に自信を持って取り組んできた人であっても、履歴書ではそうした内容を十分には伝えにくいが故に書類選考に漏れてしまい、面接まで辿り着けないため、就職活動自体に意欲が低下しまう人が少なくありません。そこで、このような履歴書に若干のハンデを感じている人への支援として、履歴書以外に「自己紹介書」を作成し、履歴書に添えて提出することを薦めています。

2.「自己紹介書」作成のプロセス

 ここでは、1つのケースを例に、「自己紹介書」作成のためのプロセスについて説明したいと思います。

  1. (1) 履歴書との関係
    まず、履歴書の職歴欄に、
    ① 最初の会社に6カ月間在籍し退職したこと
    ② 派遣社員として働いた期間を記入したうえで、「別添の自己紹介書に経験項目を記載」と書きます。
  2. (2) 「自己紹介書」の記載方法
    「自己紹介書」への記載事項は、次のとおりとなります。
    ① 冒頭文(何故このような経歴なのか)
    ② これまでの(派遣社員も含めた)仕事の内容(職種別にまとめる)
    ③ これまでの職場での仕事ぶりについての他者からの評価
    ④ これまでの経験を、御社でどのように活かそうと考えているか
    ①の冒頭文には、「短期間で離職した経験から、自分には様々な社会経験と職業体験が必要であると感じ、2年間、下記のアルバイトを経験し、今後責任を持たせていただける正社員をと希望し御社を志望致しました」と書きます。次に②の仕事上の経験について、以下を参考に③、④を盛り込むことで具体化しながら書いていきます。④については、別途「自己PR」と題して箇条書きにする方法もあります。

(記載例)

  • 倉庫管理…受注・発送の管理。正社員の手薄な深夜時間帯でのシフトを責任を持ってやっていたと評価され、アルバイトチーフをしておりました。
    御社においても、将来的にはリーダーシップを発揮することも念頭に、人の和を大切に、雰囲気良く責任を持って仕事に当たりたいと存じます。また、特に倉庫管理については、これまでの経験から、仕事の流れを全体的に把握し、的確な指示をすることもできます。
  • 接客…主にレストランホール。正社員と共に材料発注まで任されていました。
    御社においても、正社員として状況判断を的確に行い、責任をもって仕事に当たりたいと存じます。このように、本人の働いた姿を伝える役割である「自己紹介書」を履歴書に添えて提出することにより、履歴書だけでは読み取れない求職者の働き方が伝わり、採用する企業側に興味を持ってもらえる一助となるのではないかと思います。