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Vol.24-2

『職業研究』2018年No.2より

キャリアカウンセリングの様々な現場で活躍される方々によるリレーコラム。

若年者を「一人にしない」ために (2)コミュニケーションが苦手な学生への支援

北山四郎氏 画像

国家資格 キャリアコンサルタント
2級キャリアコンサルティング技能士

北山四郎

 今回は、就労意欲はあるが、コミュニケーションが苦手な若者への対応について、お話をさせていただきます。
 今号が読者の方々のお手元に届く頃には、もう「自信がなくなってしまった」と、自分を見失いかけてしまっている若者の相談者が来られているかと思います。「職に就く」という目標より、「内々定」が欲しいと切実に思っている学生の偽らざる気持ちであると思います。
 このような時こそ、私たちカウンセラーは、若者の気持ちをしっかりと受け止め、それに対して、どこに問題があるのかを見極め、的確に対応することが肝要であると私は思います。

就労意欲はあるが、「コミュニケーションが苦手」な若者の問題点

 多くの場合、面接で落ち続けてしまうというケースが見られます。つまり、面接力に問題がある場合です。ポイントとして、「話す内容の把握」と「話し方」に問題があるものです。
 代表的なものとして、次のようなケースがあります。

  1. 話す内容が整理されていない。少し掘り下げられると、頭が真っ白になってしまう。
    ⇨話す内容を箇条書きで整理し、記憶に留める。
  2. そもそも気持ちが入っていない。内容に深みがなく、言葉のキャッチボールができていない。
    ⇨気持ちについては、生き生き話すこと。そして、相手を意識した「話しかけ」(相手が頷いてくれる話し方や間)を大切にするように指導する。
  3. 癖があり、その癖がネックとなり、評価されない。面接となった途端に構えてしまい、ロボット口調となってしまう。
    ⇨親しい友人と話す時をイメージさせることで、構えをなくし、親しみやすく自然体で話すことを意識づける。
PDCAサイクルと動画の活用

 さらに、1の解決策として、私は図のような資料を使って、代表的な質問に対する掘り下げシートで内容を確認させ、それぞれの質問に対して、話し方のアドバイスもしていきます。

  • 話す内容の検証
    ポイントは、PDCAサイクルを中心に進めることです。学生の腑に落ちるように、一緒に確認していくと、自己理解も進み効果があります。
  • 話し方についての検討
    ベストな方法は、ずばり、映像に撮って見せることです。これには、スマートフォンの動画撮影機能をフル活用します。「百聞は一見に如かず」の諺通り、大きな気づきに結び付きます。
    「話しかけ」については、友人と会話する時のようにフランクな会話で練習をします。まず「言葉のキャッチボール・会話」を優先させ、「面接は会話」であることに気づいてもらいます。

 就職相談に来る学生は、必ず「就職」をしたいという気持ちを持ってきます。その心の芽が育つ方向性を、ぜひ的確に支援していきたいものです。
 「情報過多で身動きが取れなくなっている」、「就労意欲がない」若者の対応については、次号以降で取り上げたいと思っています。

■図 ワークシート
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