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Vol.24-3

『職業研究』2018年No.3より

キャリアカウンセリングの様々な現場で活躍される方々によるリレーコラム。

若年者を「一人にしない」ために (3)「情報過多で身動きがとれなくなっている」学生への対応

北山四郎氏 画像

国家資格 キャリアコンサルタント
2級キャリアコンサルティング技能士

北山四郎

 この原稿を執筆している最中、「2021卒業生から就職協定廃止」のニュースがマスコミを賑わせ、これに追随するように企業側の対応が論じられています。
 2021卒の学生の中には、「自分たちの時はどうなってしまうのだろうか、不安だ」、「どんな対策をすればよいのか」と相談に来所する学生も出てきている状況です。
 1990年代にインターネットが普及し、2000年代にブロードバンド環境が広まり、学生の就職活動は大きく変化していきました。文字通り、今回のテーマである「情報過多で身動きがとれなくなっている学生」にも通じるところであり、今回はその辺りに注視しながら、話を進めていきたいと思います。
 今回の「情報過多で身動きがとれなくなっている学生」については、次の二つの点がポイントとなります。

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  • 情報過多で自分の進むべき方向を見失い、たくさんの就職面接会回りを行い、「就職活動をしている」と自分自身を安心させているケース
  • 情報過多で気持ちばかり焦り、活動しているが、的が絞られていないケース

 このような場合こそ、しっかりと学生の気持ちを受け止め、「あれもこれもやらなければ」と思っているクライエントの混乱状態を整理することが肝要です。

具体的支援策

 原点に立ち返って、就職活動のステップを伝え、段階を踏んで具体的に支援します。これには、本連載⑴でご紹介した就職活動に必要な行動の3本柱(図1参照)を活用し、それぞれの段階のポイントを再確認し、やるべきことをもう一度、一つずつ実行するよう支援します。

持ち味を活かす就職活動

 なかなかうまく内定がとれない学生に、「自分の持ち味」に合っている職業選択をしているかどうかが大切であると伝えます。
 つまり、自分はどんな働き方が合っているのか、VPIやVRTの職業興味検査で言えば、S領域やE領域などの人と関わる仕事がいいのか、あるいはC領域に代表される事務職でもいろいろある、といったことを考えさせるのです。
 実は、この時期になかなか決まらないという学生にみられる傾向として、仕事選びのミスマッチが起因しているものが少なくありません。一言で言えば、仕事選びです。
 企業名にこだわり続けていないか、とにかく総合職がいいと頭が凝り固まっていないか等、丁寧に学生の気持ちを掘り下げ、それに対して「どう働いていけば、自分が生き生き仕事ができそうであるか」を確認しながら、相談を進めていきます。そして、それが「自分の持ち味、身の丈に合っているか」という点もともに考えていきます。
 必要なのは、学生と企業の最適化であると思います。まずは、地に足のついた活動を地道にしていくことを伝え、「一緒に活動していきましょう」と学生を支えます。
 次回の最終回では、「就労意欲がない」、「行動を起こせないでいる」学生について、お話をさせていただく予定です。

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