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Vol.24-4

『職業研究』2019年No.1より

キャリアカウンセリングの様々な現場で活躍される方々によるリレーコラム。

若年者を「一人にしない」ために (4)「就労意欲がない」「行動を起こせないでいる」学生の対応

北山四郎氏 画像

国家資格 キャリアコンサルタント
2級キャリアコンサルティング技能士

北山四郎

 今回は、「(就職はしたいのに)就労意欲がなくなってしまった場合」と、「全く就労意欲がない場合」、それぞれ行動が起こせない場合についてお話しをさせていただきます。

ケース1 (就職したいのに)就職意欲がなくなってしまった場合

 ①特徴として、就職活動をしたものの、途中で上手くいかず意欲がなくなり、挫折してしまったケース等です。
 まず、しっかりと学生に寄り添い、「就職をしたいという気持ちを持っている(いた)ことは、素晴らしい」と評価します。諦めなければ、就職できる、「あなたは、一人ではない」と精神面でも支えます。

 ②両親との関係や、本人の受動的な性格などの背景がある場合。親が有名企業に就職しており、子どもにもそのことを期待しているケースです。
 親の期待に、苦しみを打ち明けられないことが多く、解決までに相当の時間を要しますが、焦らず支援します。そして、年を越す頃に、「両親は就職について何か言っている?」と質問すると、「とにかく就職してほしいと言っています」と親御さんの考え方が変わってくる場合も少なくないものです。
 両事例とも、学生は「自立したい」と考えているものの、自己評価が低く次に進むステップを自力で切り開いていくことが苦手であるという傾向があります。

 上記①や②の対応としては、直近で大学に来ている求人や、ハローワークの若者向けの求人、各種サイトからいくつか紹介をし、行動を促します。ただ、この場合の支援は、「丁寧に、相手の身になって」を大切にします。
 具体的には、相談中に実際に先方企業に連絡をとる姿を見せ、応募の準備を整えるといったフォローをすることで、学生の「やる気」を育てます。年明けの求人は、企業側もスピーディーに対応をしてくれることもあるものです。もちろん、その後はこまめに連絡をとり、「一緒に活動していこう」とサポートします。

ケース2 全く就労意欲がない場合

 本人の意欲がなく、「ニートでもよし」「親がかりでもよい」と考えている学生については、時期を待ちます。何よりも、「本人の意思」が大切なのです。
 一方、何らかの精神的な理由により、医師に相談している場合もあります。これらの場合は、主治医の指示のもと、無理のない範囲で活動を進めます。
  アルバイトの経験がなければ、対価を得て仕事をすることに慣れていくのもよいと考えます。そして、進捗状況に合わせ、ハローワーク等公的な機関を活用し、通所型のセミナー等を紹介し、自立していくきっかけ作りで支援します。
 これらのケースは、卒業後も就職活動を続ける場合も少なくありません。是非、段階を追って、少しずつ支援するスタンスを心がけてください。
※ 本連載第一回でご紹介した「就職活動に必要な行動の3本柱」を活用されるとよいでしょう。

若者を一人にしない、困った時に 思い出してもらえる支援を

 忘れてはならないのは、私たちCCは、学生の活動が壁にあたっている時こそ、適度に距離を置き、フォローをしながら「心のよりどころ」となる支援を継続することです。
 学生(未就職の若者も含めて)は、「何を、どうやって、どんなふうに…」と躓いたときに悩みを持ちます。そのときに的確に支援をしていくのが私たちの大きな役割であると思います。困ったときに、「そうだ、〇〇さんに相談に行けば…」と思っていただけるよう、クライエント主体の支援をしていくことが肝要であると私は考えます。
 その点で、日々私たち自身も自己研鑽に努めていきたいものです。

 最後に、4回にわたり私の拙い文章をお読みいただき、大変ありがとうございました。ぜひ、一人でも多くの若者を世の中に送り出すという仕事を、今後も皆さまとともに続けられればと思います。