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Vol.9-4

『職業安定広報』2007年3月号より

キャリアカウンセリングの様々な現場で活躍される方々によるリレーコラム。

WEBカウンセリングの普及に向けて

竹上晋太郎氏 画像

(有)エイチ・エヌ・シー
取締役

竹上晋太郎

 最後にWEBカウンセリングの普及に向けてのお話をさせていただきたいと思います。
 今現在はWEBカウンセリングはまだまだ社会的に普及しているとは言えないでしょう。カウンセラーの中にはWEBカウンセリングの効果について否定的な見方をされる方も見られます。私自身はこれまでのWEBカウンセリング経験によってその効果は低くはないと感じています。
 そこでWEBカウンセリングを実際にやってきた私の考えるWEBカウンセリングのメリットをここでまとめてみたいと思います。

  1. 話すことが苦手なクライエントの支援に向いている
    対面などでは話をすることが苦手なクライエントに対しては、WEBカウンセリングは効果的であると思います。じっくり考えてから書くこともできますから、クライエントが自分のペースで伝えたいことをまとめることが可能です。
  2. 時間の制約がない
    対面であれば1回あたり約1時間という制限でやることが多いと思いますが、WEBカウンセリングであればクライエントの都合の良い時間に相談をすることが可能です。
  3. 場所の制約がない
    対面であれば決まった場所に行かなければカウンセリングをすることができませんが、WEBカウンセリングであればクライエントはメールを打てる場所であればどこでも相談をすることが可能です。
    「働く若者ネット相談事業」では携帯電話からの相談の受付も行っているので、携帯電話からいつでも相談をすることが可能です。
  4. やりとりが文章ではっきり残る
    対面のカウンセリングではその場の会話のやりとりが残ることはなく、後から見直したりすることはできません。
    それに対して、WEBカウンセリングであれば相談のやり取りが文字で残っているので何度でも見直すことが可能です。

 以上が私の考えるWEBカウンセリングのメリットですが、実際にWEBカウンセリングをできるようになるまでには相応の訓練が必要だと思います。
 WEBカウンセリングを社会に普及定着させるためには、訓練を積んだWEBカウンセラーをこれから養成していく必要があると思います。
 その訓練内容とは具体的に言うと、スーパーバイザーの指導を受けるということです。私のいる「働く若者ネット相談事業」には5名のスーパーバイザーがいてWEBカウンセラーの回答を随時チェックしています。
 また何か相談したいことがあればいつでも直接対面でスーパーバイザーに相談をすることができるようにもなっています。このような体制をキャリアコンサルタント業界全体で作っていくことが、プロのWEBカウンセラー養成のためには必要だと思います。
 これからWEBカウンセリングが社会に普及定着するために、スーパーバイザーの体制がキャリアコンサルティング業界全体で整ってくることを期待するとともに、WEBカウンセラー仲間が増えることを願っています。