Vol.27-4
キャリアカウンセリングの様々な現場で活躍される方々によるリレーコラム。
生成AI時代の就職・キャリア支援とキャリアアドバイザーに求められる力

株式会社キャリアボット 代表取締役社長/株式会社岡崎人事コンサルタント 取締役社長/東京都立産業技術大学院大学 特任准教授
岡崎浩二
コロナ禍以降、学生支援の現場は大きく変化し、対面とオンラインを併用するハイブリッド型支援が一般化しました。加えて、生成AIの登場により、就職活動は効率化が進んでいます。本稿では、こうした変化を踏まえ、AI時代におけるキャリア支援の現状と、今後キャリアアドバイザーに求められる力について考察します。
生成AIと就職活動
生成AIの普及により、学生の就職活動は確実に変化しています。大学生協の調査では、学生の約半数がChatGPTなどを継続的に利用しているとされ、支援の現場でも、エントリーシートの下書きや自己PRの作成にAIを活用する姿が見られます。生成AIの利用自体は問題ではありませんが、正しい使い方の指導が必要です。自分の経験を反映させること、AIの出力をそのまま使わず、自分の言葉として再構成することが重要です。
また、AIの進化により、情報収集のスピードも飛躍的に向上しました。最近では、生成AIがインターネット検索を可能にし、業界研究や企業分析がより効率的に行えるようになっています。一方で、出典が曖昧な情報や一次情報に基づかない知識が広がるリスクもあります。支援者として、AIが出力する情報に頼りすぎず、元の資料に立ち返る姿勢を学生に促すことが重要です。
エントリーシートに関しても、AIが出力する文章は類似性が高く、内容が均質化する傾向があります。支援者は学生に対し、AIを補助的に使いつつ、自身の体験や価値観をしっかりと書き込むよう指導すべきです。オリジナリティこそが、採用側の目に留まるポイントとなるからです。
さらに、生成AIは「相談相手」としての役割も担い始めています。最新のモデルでは共感的な対話も可能で、学生が24時間いつでも気軽に話せる相手として活用されています。悩みをAIに話すことで頭の中が整理されることもありますが、ハルシネーション(誤情報)のリスクもあるため、支援者はその注意点もあわせて伝える必要があります。
キャリアアドバイザーに求められる力
このような背景の中で、キャリアアドバイザーに求められる力は以下の3点に集約されます。
第一に、「自分で語れる程度の生成AI体験・スキル」を持つことです。実際にAIを使ってみることで、その癖や特性が理解でき、学生へのアドバイスにも説得力が生まれます。私自身はセミナー企画や資料作成などでAIを日常的に活用しており、プロンプト(指示文)の工夫や効果的な使い方について実体験をもとに伝えています。
第二に、「生成AIを使ったキャリア支援を実践すること」です。学生の相談内容に対してAIにも同じ質問を投げ、異なる視点や表現を得るといった使い方が有効です。私もエントリーシートの添削でこの方法を活用しており、AIの回答を参考にしながら新たな観点を学生に提案することがあります。もちろん、個人情報の取り扱いや組織のガイドラインに注意することは大前提です。
第三に、「新しいことに積極的に挑戦する姿勢」です。AIに限らず、支援現場には常に変化が求められます。私たち自身もリスキリングやアップスキルを意識し、変化に柔軟に対応できるようにしておくことが大切です。AIの進化により、支援のあり方自体も変わっていく可能性があるため、常に学び続ける姿勢が求められます。
生成AIとの協働によるキャリア支援
最後に、AIは就職活動を効率化し、選択肢を広げる大きな力を持っています。しかし、最終的に学生が納得のいく進路を選ぶためには、人との対話が不可欠です。AIによって生まれた時間を、学生との面談や関係機関との連携など、より本質的な支援に充てていくことで、支援の質と生産性は大きく向上するはずです。
生成AIは、私たちの仕事を奪う存在ではなく、協働すべきパートナーです。私自身、2025年春から東京都立産業技術大学院大学で「共創AI」をテーマに研究室を立ち上げ、人とAIが協力しながらキャリア支援を進化させるための取り組みを行っています。キャリア支援の未来はまだ定まっていませんが、変化を恐れず、共に学び続けることで、より良い支援を次世代に届けていきたいと考えています。